上中写真展



先生は、なにか中学校の記録を自分たちで残したいと強く思っていたようだった。
3年生が中心になって、学校の資料集め、卒業生の方々への連絡、そして、写真展の企画、撮影などを。
そして、最後の文化祭に、皆さんの写真と共に、僕の写真も展示していただけるということで、学校の様子が分かるように、全員の写真を撮ってまわった。
友達の様子や、日常生活の様子は、学校の先生や、生徒さん達がしっかり撮ってくれているだろうからこのようなセレクトに。

上村は、飯田市に合併後急激に人口を減らしている。
林業で栄えていた地区だが、それも今は昔。
上村には、山間部特有の伝統行事が残っているけれど、その行事へも先生達の参加が必須だ。
ここへ着任する時に「笛が吹けるか?」というのが条件だと笑いながら教えていただいた。

祭の時期が近づくと、日常の業務に加えて、職員室や教室でも笛の音色が響き、舞の練習に忙しくなる。


長野県一小さな中学校、上村中学校。
この学校は、中学校として全国唯一の複式学級制を採って存続するか、となりの中学校に通うようにするかを迫られることになったのだ。
「誰だって、自分の学校がなくなることに賛成できる人はいないー校歌を歌っていたら自然に涙が止まらなくなったー」
3年生の子を持つお父さんの言葉。
中学校がなくなるということで、上村から人口の流出がさらに進んでいる。


美しい風景は、美しい人達が作ってできあがったものかもしれないー
このまま、当たり前のように時がたってしまったらどうなるのだろうー
なんどもなんども、夜通し先生と話し合ってみたけれど、ひとことでこうだと言い切ることはできそうもない。
ただ、遠く離れた見知らぬ土地で起こっている、ニュースにも載らないできごとは、都心で暮らしている僕にとっても無関係なことではないような気がした。

カメラは、ニコンS3、F。 レンズは、28mm、35mm。

masaki
駒田匡紀(こまだ まさき) フリーカメラマン。 撮影や取材のご依頼など、お問い合わせはコンタクトフォーム、メールをご利用いただけます。

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